現在公演中の水樹奈々さんのライブツアー「LIVE PARADE 2023」のセットリストについて、テキストマイニングによる歌詞分析を試みました。
といっても、まだ3公演しか終わってないということもあり、深い考察はできておりません。
あくまでざっくりとしたものですので、参考程度として温かい目で見てもらえれば幸いです。
ということで、以下は分析についての詳細になります。
対象としたのは、7月9日(日)に大阪城ホールで行われた大阪公演DAY2(GALA03)までのセットリストとし、入れ替え曲も含めております。
企画曲については本編の趣旨とは異なることも考えられるので、本分析からは対象外としております。
また、「LIVE PARADE 2023」が過去の水樹奈々さんのライブツアーと比較してどのような特色があるのかを示すために、「LIVE EXPRESS」「LIVE ISLAND」「LIVE ZIPANGU」のそれぞれのセットリストを比較分析の対象としました。
また、コロナ禍前後でメッセージの違いがあるかどうかについても明確にしたかったため、「LIVE PARADE 」と同様、コロナ禍が始まって以降に行われた「LIVE HOME」は除外しました。
頻出語TOP10
「LIVE PARADE」のセットリスト頻出語TOP10と、水樹奈々楽曲全体の頻出語TOP10です。
「夢」「今」「心」「未来」「愛」「胸」「自分」は両者共にTOP10入りしている語になりました。
このうち、「愛」については、水樹奈々楽曲全体では5位である一方、「LIVE PARADE」では「心」と並んで1位になっています。
「LIVE PARADE」のコンセプトは、コロナ禍から復活し、声出し解禁になったお祝いのための凱旋というのが水樹奈々さんご本人の口から語られています。
コロナ禍においては、人と接触しないことが強く求められ人との繋がりが希薄になった世界でした。言い換えれば、人はその日その日を何とか生きるだけという、いわば無機質な世界だったように思います。
ここで「愛」とは何か考えてみたいと思います。
哲学的でとても難しい命題ですが、少なくとも、無機質な世界には存在しない、人間の感情、心が生み出したものであることは間違いないでしょう。
「愛」には、家族愛、恋愛、自然愛、人類愛といった様々な愛の形がありますが、いずれも自分以外との繋がりを希求した結果であると考えます。
人間が、「物」ではなく人間らしくあるための根源的な営みが「愛」であり、その「愛」が失われた世界がコロナ禍だったといえます。
つまり、「LIVE PARADE」において「愛」が「心」と共に頻出語TOP1になっているのは、「愛」をテーマにすることによってコロナ禍からの復活を示そうとしているということではないでしょうか。
過去のライブツアーのセットリスト比較
下記の図は、頻出語の出現傾向を分析し、それぞれのライブツアーに特徴的に出現している語を視覚的に把握できるようにした対応分析図です。
図の見方ですが、ライブのタイトルに近い語はそのライブに特徴的な語、反対に原点に近い語は、どのライブにおいても普遍的に出現している語ということになります。
「LIVE PARADE」に最も近い語、つまり「LIVE PARADE」のセットリストにおいて特徴な語は「君」ですが、これは非常に特筆すべき点です。
なぜなら、「君」「僕」といった人称代名詞は、水樹奈々さんの楽曲だけでなく、どの楽曲においても頻出する語であり、非常に普遍的に使用されている語だからです。
従って、「君」「僕」といった人称代名詞は、もっと中央寄りに位置してもよいはずです。
では、なぜ「君」が「LIVE PARADE」において特徴的に出現しているのでしょうか。
「君」とは二人称である人称代名詞ですが、二人称とは、相手から見えてる自分、「わたし」と「あなた」という二つの関係性を意味します。
つまり、「LIVE PARADE」では、ファン一人一人に対してメッセージを届けるということをコンセプトにしているからではないでしょうか。
ここで思い出されるのは、2023年1月21日、22日に行われた「LIVE HEROES 2023」のMCです。
「ファンのみんなこそがヒーロー。ヒーローであるみんなによって自分は凄い力が出せる。」
という趣旨のMCは、水樹奈々さんとファンとの理想的な関係を示すMCとして、非常に印象深いものでした。
ここで改めて、上記の対応分析図を見てみると、「君」と共に「僕」という語も「LIVE PARADE」に比較的近い位置にあることが分かります。
すなわち、「君」=ファン、「僕」=水樹奈々と読み替えることによって、「LIVE PARADE」を通じて、よりファンとの絆を深めたいというコンセプトがあるのではないかと考えられます。
共起ネットワーク図による分析
「LIVE PARADE」のセットリストにおいて、どのような語がどのような語と一緒に使われているのか、語同士の繋がりを分かりやすくした図が下記の共起ネットワーク図です。
まず、「世界」という語について、「変わる」「生まれ変わる」という語と結びつきが強いことが分かります。
「LIVE PARADE」におけるMCでは、
「何もないところから新たな光を見つける、立ち上がる。」
「みんなの力で息を吹き返す。」
「ネオスタイル、新しい。」
というようなことが語られており、コロナ禍からの復活によって世界が生まれ変わる、世界が再生されるというメッセージを示すものだといえます。
次に、「見える」という語は、「先」「空」と強く結びついており、さらに「先」という語は「笑顔」という語と結びつきが強いことが分かります。
これは、コロナ禍からの復活によって明るい兆しが見えるというメッセージであり、見える先に笑顔がある、明るい未来の象徴として「雲」ではなく「空」が見えるということを示しているのではないでしょうか。
さいごに
非常にざっくりで簡単ではありますが、「LIVE PARADE」のセットリストについて、テキストマイニングの手法を用いた分析・考察を行ってみました。
論理の飛躍や的外れな点も多々あったかと思いますが、「LIVE PARADE」を通じて水樹奈々さんがファンのみんなに何を伝えたいのか、考える一つのきっかけになれば幸いです。
まだ3公演目なので、入れ替え曲が増えればまた少し結果も変わってくるのではないかと思います。
また、セットリストの構成や流れについても、いろいろと興味深い点が多いように感じています。
例えば、「LIVE PARADE」では「ナイトパレード」と「デイパレード」という二つのコンセプトから成り立っており、12曲目の「恋想花火」までは「ナイトパレード」、13曲目の「サーチライト」からは「デイパレード」という分かりやすい構成になっていますよね。
また、「サーチライト」から始まる「デイパレード」の流れでは、「サーチライト」=新しい世界の再生→「STARTING NOW!」=今ここから世界が始まる/「POWER GATE」=新しい世界の扉を開く→「Higher Dimension」=新しい時代(世界)をより高みに向かって駆け抜けるというものであり、非常に前向きで明確なメッセージになっていると個人的には考えています。
有識者の皆様からお知恵をお借りして、これからももっと「LIVE PARADE」を楽しみたいと思っていますので、どうぞよろしくお願い致します。