こんにちわ、テッラです。
この正月休み、友人の勧めでテレビアニメ「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」(以下、「MyGO」)を視聴したのですが、めっちゃくちゃ面白くて一気にハマってしまいました。高松燈と羊宮妃那さんが大好きすぎる!
筆者は少々ギターを嗜んでいるのですが、作品のテーマがバンドということで、ギター演奏という観点からも非常に強いこだわりを持って制作された作品だと感じました。
本記事は、そのギター演奏に着目し、作中に登場する様々な音楽的要素をギター未経験者の方でも分かりやすいように解説しながら、『「春日影」のギターがカポタストを付けて演奏されている理由は何か』というテーマを掲げ、その考察を試みた記事になります。
ギター経験者の方にとって前半部分は既知の情報だと思いますので、その場合は「4.なぜ愛音はカポを付けて「春日影」を演奏したのか。」へ飛んでいただければと思います。
はじめに
まず初めに、「カポタスト」とはどのようなものなのかを解説していきます。
カポタストとは、特定のフレットをまとめて押さえるための演奏補助器具で、略して「カポ」とも呼ばれます。
フレットとは、ギターのネック上に打ち込まれた棒状の金属のことをいいます。
上記の画像ように、ギターのネック部分はフレットという金属の棒によって縦に仕切られており、左側から順にフレットに番号が振られています。
フレットの役割は、弦を触れさせることによって正確に音程を鳴らすことができるというものです(一方で、ヴァイオリンの場合は同じ弦楽器でありながらフレットがないのでその分演奏が難しいと言われています。)
次に、以下の画像をご覧ください。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第7話より引用>
この画像は、「MyGO」7話で愛音が「春日影」を演奏しているシーンですが、愛音のギターのネックに挟み込まれている洗濯ばさみのようなものが「カポ」です。
つまり、『「春日影」のギターがカポタストを付けて演奏されている理由』とは、具体的には「MyGO」7話における愛音のギターのことを言っています。
筆者がなぜここに着目したかというと、基本的にはカポはアコースティックギターではよく使用されますが、エレキギターではあまり使うことがないためです。
愛音のように、ギター初心者ならばエレキギターでも使うことはあり得るのですが、本当にそれだけの理由なのか?もっと違う理由も隠されているのではと考えるようになりました。
そんな疑問からカポを付けている理由を掘り下げていったところ、筆者なりにちゃんとした意味があるという結論に達しました。
ただ、カポってけっこう奥が深い道具なんですよね。カポを付けている意味を解き明かしその理解を深めるために、まずは「コード」とは何かというところから話を進めていきたいと思います。
コードについて
コードとは?
「コード」とは、同時に演奏された2つ以上の音のハーモニーで、最も基本的なコードでは3つの音程を使います。
「コード」というワードについては、「MyGO」4話後半、スタジオで愛音のギターの腕前を披露する場面があり、
立希:「それ、コードだし。」
愛音:「ギターはコードに始まり、コードに終わるんです~。」
というやり取りがありましたね。
コードの役割
一般的に、大衆音楽においてはメロディ(主旋律)だけでは成立せず伴奏が必要となりますが、伴奏を行うにあたって、どのように音を積み重ねればよいかを示したものがコードになります。
コードは、積み重ねる音の数や音程によってさまざまな聴こえ方(響き方)がするので、さまざまなコードを組み合わせることによって響きを変え楽曲のストーリーを演出することができるというわけです。
コードの仕組み及び表記方法
以下の画像は、上記と同じく「MyGO」4話後半、スタジオで愛音のギターの腕前を披露する場面で、愛音がコードを押さえて「ふふーん、どう?Cコード。」と得意げになるシーンです。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第4話より引用>
まず、「C」というアルファベットの意味ですが、これは「ドレミファソラシド」という音階とアルファベットが以下のように対応しています。
C=ド
D=レ
E=ミ
F=ファ
G=ソ
A=ラ
B=シ
次に、コードは最も低い音を基準にして、順に高い音を重ねていく仕組みとなっています。「Cコード」とは、最も低い音が「ド=C」になり、その上に「ミ=E」と「ソ=G」を積み重ねた和音になります。
以下の画像は、「MyGO」6話冒頭で愛音が「春日影」の練習をしているシーンで登場する楽譜です。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
左側の楽譜には「E」「B」「F#」などの様々な形式のアルファベットが並んでいます。これは、上記で解説したようにコードを示すアルファベットで「コードネーム」と呼ばれています。
コードネームごとに左手はどの弦のどのフレット押さえたらよいか、すなわち、左手のポジションは決まっているので、通常は左側の楽譜のようにコードネームだけで表記され、左手のポジション表記は省略されます。
コードネームそれぞれの左手のポジションを知るために必要な楽譜が右側になります。これはコードの左手のフォームを視覚的に見やすくした、ダイアグラムと呼ばれる図です。
愛音はまだ初心者であり、左側の楽譜にあるコードネームを見ただけですぐ左手のポジションが分かるわけではありません。従って、右側のダイアグラムを参照しながらコードを練習しているというシーンになっています。
前述の「MyGO」4話後半のシーンで愛音が押さえていた「Cコード」のダイアグラムも上記右側の楽譜で紹介されていることが分かります。
この「Cコード」のダイアグラムを拡大したものが以下の画像になります。
横に並んでいる数字はフレットの数、縦に並んでいる数は弦を示しており、Cコードとは、2弦の1フレット、4弦の2フレット、5弦の3フレットを押さえればよいということになります。
では、弦を指で押さえる必要のない1弦、3弦、6弦はどうすべきかというと、1弦と3弦のところに「〇」がついていますね。これは、弦を指で押さえずそのまま弦を鳴らすという意味になります。このような弦を開放弦と呼びます。
この「開放弦」がカポを理解するうえで重要な要素になります。
6弦に「×」がついているのは、6弦は鳴らさないようにミュート(消音)するという意味になります。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第4話より引用>
ギターを正面から見た時、6弦が一番上で一番下が1弦です。一方で、ダイアグラムでは1弦が一番上になっており、上下が反対になっています。ダイアグラムはギターを構えた状態の人がフレットを上から覗き込んだ様に書かれているので6弦が一番手前になり、上下が逆になるわけですね。
つまり、アニメで描かれている愛音の「Cコード」の左手のフォームと実際の「Cコード」のコードフォームを見比べてみると、両者がちゃんと一致していることが分かります。
バレーコード
以下の画像は、またまた「MyGO」4話後半の愛音の演奏シーンです。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第4話より引用>
このシーンは、そよから「他に何が弾けるのか」と聞かれたときに、愛音が「Fも弾ける」と答えたあと、Fコードの左手のフォームをアップにしたシーンです。
見て分かるように、Fコードは全ての弦を人差し指1本で押さえつつ、残りの指もほかの弦を押さえるというフォームになっています。このように、人差し指などで複数弦を一気に押さえ開放弦を使わないコードのことをバレーコードと呼んでいます。
開放弦を使わないということはコードに必要な弦全てを押さえることになり、押さえる場所が単純に多くなります。つまり、難しいコードということになるわけですね。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第4話より引用>
上記は、愛音がFコードを押さえたまま右手で弦を鳴らすシーンですが、左手がうまく押さえられておらず、綺麗に音が鳴っていません。
再度「MyGO」6話冒頭の楽譜部分を見てみます。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
F#も人差し指で押さえるフレットが2フレットというだけで、Fとコードフォームは一緒です(Fは1フレットを人差し指で押さえる)。
「ポイント」に、「F#は初心者にとって押さえるのが難しく、はじめは大きな壁となるでしょう。」と記載されており、F♯が難しいコードであることがここでも示されています。
(細かいところですが、ここにF#が記載されているのは不自然で正しくはFのはずです。しかし、「春日影」に出てくるコードであるF#を練習しているというメッセージを強調するために敢えてF#にしたのかなと思いました。)
オープンコード
一方で、Cコードのように、バレーコードではなく開放弦を使ったコードはオープンコードと呼ばれています。オープンコードはバレーコードと比較して簡単であるため、下記の楽譜の画像にある「初心者が覚えるべき基本のコード」のほとんどがオープンコードとなっています。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
(厳密に言うと、Cコードの左手のフォームは数種類あり、バレーコードのCコードも存在するのですが、ここを掘り下げるとややこしくなるので割愛します。)
改めて、「MyGO」4話後半でそよから「他に何が弾けるのか」と聞かれたとき、愛音がどのように答えたか振り返ってみましょう。
「何でも弾けるよ。GとかAmとか。Fも。」
すでにFコードについては解説しました。Amは、エーマイナーと読みます。コードには大きく分けてメジャーとマイナーがあり、マイナーには小文字でmが付きます。
反対にメジャーは何も付きません。例えば、今まで出てきたCあるいはFも、厳密に言うとそれぞれCメジャー、Fメジャーとなります。メジャーとマイナーの違いは、メジャーは明るい響き、マイナーは暗い響きとなっています。
補足説明が長くなりましたが、愛音が答えたGやAmもまたオープンコードで弾ける「初心者が覚えるべき基本のコード」なんですね。つまり、愛音はまだオープンコードしか弾けないバリバリの初心者ということがここで強調されています。
カポを付けることのメリット
ここから、カポを付けることのメリットについて解説していきます。
キーを簡単に変更できる
曲には「キー(Key)」があります。カラオケで「原曲キー」とか「キーをプラス2しよう」という「キー」のことです。カポを使えば、この「キー」の変更がより簡単にできるようになります。
実際にアコギで演奏しながらカポ装着によるキーの変化を見てみます。
基本はCコードを押さえつつ、カポを1~3フレットへ装着して音を出すと、どんどん音程が上がっていくのが分かると思います。
youtu.be
このようなカポによるキーの変化を譜面上で表現したものが以下の画像になります。
これは松山千春の「大空と大地の中で」という曲ですが、左上に
Original Key F#
Capo4 Play D
となっていますね。
これは、カポを4フレットに付けてDというキーでコードを演奏せよという意味です。
このF#とDというキーの関係を示したものが以下の画像です。
これは、カポを4フレットに付けてDのキーで演奏しても、カポを付けずにF#のキーで演奏してもどちらもキーは変わらないということを意味しています。
では、なぜわざわざ4フレットにカポを付けて演奏するのでしょうか。そのメリットは何でしょうか。
コード演奏が簡単になる
まず、F#というキーの中で使われるコードは前述したバレーコードが多くを占めます。細かい理由を説明するとややこしくなるので大雑把に言うと、#や♭が付くキーの中で使われるコードは、基本的にバレーコードが多く登場するということです。
逆に言うと、#や♭が付かないキーならばオープンコードが増え、コード演奏が簡単になるということです。オープンコードを増やすために行わるのがカポによるキーの変化ということになります。
カポを使えばコードが簡単になるということを、より具体的に、F#というコードを例にして検証してみます。
前述の通り、バレーコードと呼ばれるコードを難しくしているのは人差し指で全部の弦を押さえるという点です。この人差し指で全部の弦を押さえる動作を代わりにカポでやってもらうとどうなるでしょうか。
(黒丸部分の数字についてですが、1=人差し指、2=中指、3=薬指、4=小指で押さえなさいという意味になります。)
このように、人差し指全部で弦を押さえる必要がなくなり、3本の指で3弦1フレット、4弦2フレット、5弦2フレットを押さえるだけのEというオープンコードのコードフォームに変化しました。
注目したいのは、コードフォームはEですが、実際の音はEというコードフォームのまま2フレットにカポをしているのでキーが2つ上がっており、F#と2カポのEはどちらも音程が同じであるという点です。
実際に音を出して確認してみましょう。
youtu.be
これが、カポを付けるとコードが簡単になる仕組みです。
なぜ愛音はカポを付けて「春日影」を演奏したのか。
ここから本格的に、本記事のメインテーマについて迫っていきます。
カポを付けることのメリットは前述した通り、コード演奏が簡単になることです。まずは、コード演奏を簡単にするためにカポを使ったのかどうかを検証してみましょう。
演奏を簡単にするため?
それではまず、愛音の演奏技術の状況について振り返ってみます。
すでに何度も触れている通り、「MyGO」4話ではFコードを押さえることもおぼつかない状況です。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第4話より引用>
しかし、5話になると楽奈のテクニックを目の当たりにした愛音に気持ちの変化が現れます。
「GとかFとか言って恥ずかしすぎでしょ、私。ってか、あの楽奈って子がバンドに入ったら私空気じゃん。」
楽奈の存在によって、自分の演奏技術が未熟なのを自覚し焦りが生じ始めているという状況ですね。
自宅でタブレットにコードダイヤグラムを表示させて熱心に練習するかと思いきや、
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第5話より引用>
「今から練習してもすぐ上手くなるわけじゃないし。」
とすぐに練習をやめ、祐天寺にゃむの動画を見始めてしまいます。
一度はやる気を失ったものの、燈の言葉によって迷いながらでも進むことを決意し、ライブに向けて心機一転、練習に打ち込むことになります。
「MyGO」6話は、自宅ではなく学校で練習している愛音のシーンから始まります。
「E、B、E、F#…」と口に出しながら、ゆっくりとしたテンポでコード練習をしていますが、この時点ではまだF#で躓いていますね。
ただ、注目したいのはBはちゃんと押さえられている点です。Bというコードは5話の練習シーンで登場したコードですが、このコードもまたバレーコードで難しいコードの部類に入るわけです。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
5話の段階では押さえることができなかったので、6話で練習の成果が出ているということが分かります。
そして、すぐ次のスタジオシーンではもうF#も押さえることができ、B→E→B→E→F#→Bというコード演奏ができるようになっていました。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
この「B→E→B→E→F#→B」というコード進行は、「春日影」のAメロのコード進行です。これらのコードのうちBとF#というこれまで苦手だったバレーコードも克服していることから、カポを使ってコード演奏を簡単にするという必要性はこの時点でかなり薄れているのではないかと考えられます。
次に、以下の画像をご覧ください。これは「MyGO」6話で愛音が自宅練習しているシーンですが、これまで出てこなかった種類の楽譜が登場していますね。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
今までは左手でコードを押さえたまま、右手で弦をジャラーンとかき鳴らすコードストロークという演奏方法がメインでした。
しかし、このシーンでは、左手を人差し指から小指まで順番に動かしながら、右手で弦を1本ずつ弾いていくというより難易度の高い練習へフェーズが移行しています。
つまり、このことは愛音が本気で練習に取り組んでいることが分かると同時に、演奏技術がどんどん上達していることを示唆しています。
従って、愛音はもう初心者ではなく、「春日影」でカポを使ったのはコード演奏を簡単にするためではないということが結論付けられます。
エレキギターでカポを使うことが一般的でない理由
「春日影」でカポを使った理由を考える前に、なぜエレキギターではカポを使うことが一般的でないのかについて解説したいと思います。
www.nishi-guitarschool.com
上記のサイトでは、エレキギターであまりカポを使わない理由としていくつかの項目が挙げられていますが、一番の理由は「エレキでの開放弦の使用頻度が少ない」という点です。
・エレキでは開放弦は少し浮いた感じに聴こえる
・開放弦はミュート(消音)しづらい
・エレキではコードを6弦すべて使って弾かなくても良い
カポを使うことのメリットは、オープンコード及び開放弦が使いやすくなる点にあるので、エレキにおいて開放弦を使うことの重要性が乏しければ、必然的にカポは使わないということになりますね。
以上のように、エレキでカポを使うのは一般的ではなく、かつ、コードを簡単にするという必要性もない中で、わざわざ「春日影」で愛音がカポを使って演奏した描写を入れたのは、そこに製作者側からの何らかのメッセージがあると考えられます。
次は、そのメッセージについて筆者なりに考えた内容を説明したいと思います。
カポを使うことのもう一つのメリット
実は、コードを簡単にするというメリット以外にも、カポを使うことのメリットがもう一つあります。それは、2本のギターでのバンドサウンドが向上するというものです。
どういうことかというと、例えば2人とも同じネックポジションの場合、どうしても出音自体が同質のものとなってしまいます。
その場合、1人がカポを用いることで、ギターのトーンの違いをひき立たせることができ音に厚みが加わるのです。
そう、「MyGO!!!!!」というバンドは、愛音と楽奈という二人のギターがいるバンドですよね。
つまり、「春日影」でカポを使ったのは、楽奈とは違ったギターの音を出したいという愛音の思いがあったからではないでしょうか。
なぜ、愛音は楽奈とは違ったギターの音を出したいと思ったのでしょうか。
愛音にとってのバンドという存在とCRYCHIC
自分の存在意義
改めて、楽奈のテクニックを目の当たりにした愛音の気持ちの変化について振り返ってみます。
「GとかFとか言って恥ずかしすぎでしょ、私。ってか、あの楽奈って子がバンドに入ったら私空気じゃん。」
愛音はもともと自分が中心となったバンドをやりたいと思っていました。
しかし、楽奈によって自分の演奏技術の未熟さを自覚し、バンドにおける自分の存在意義が脅かされることになります。
燈の言葉によって練習に打ち込むができるようになったものの、技術面に引け目もあり、立希からのきつい当たりにもなかなか反論することができず、スタジオにいながら個人練習をするという過酷な状況に置かれます。
もちろん、愛音はライブに向けてメンバーと一緒に頑張るという前向きな気持ちを持ちながらも、その一方で、ギターとしてどうやって自分の居場所を見つけたらよいかを必死に考えていたのではないでしょうか。
「春日影」はCRYCHICの曲であるということの意味
わざわざ言うまでもないことですが、「春日影」はもともとCRYCHICの曲でした。その時の編成は、ギター担当は睦だけで「MyGO!!!!!」のツインギターの編成とは異なっていました。
つまり、「春日影」はギター一人でも成立した曲であるということです。
愛音に渡されていた「春日影」の楽譜ですが、ご覧の通り、愛音パートは基本的にはコード演奏がメインとなっています。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第6話より引用>
愛音は、自分のバンドとして「春日影」を演奏するとき、シンプルにコード演奏するだけではそれこそ「空気」になってしまう。何か自分独自の要素を入れることで、CRYCHICではない自分のバンドとしての「春日影」を表現し、そのことによってバンドの中で自分の居場所を作るという強い思いがあったのではないでしょうか。
アレンジは誰が考えたか
愛音は、当初に比べて飛躍的に演奏技術が向上したと考えられますが、それでも楽奈とはまだ開きがある状態です。そのような中で、技術面において楽奈との違いを出すのは困難でしょう。
従って、カポを使うことによるギタートーンの変化というアプローチで独自性を出そうと愛音は考えたのではないでしょうか。
バンドのアレンジ担当は立希が担っていますが、7話で「春日影」が披露される前のスタジオ練習で立希は常にピリピリしており、作曲やアレンジで行き詰まっていました。
従って、「春日影」のカポアレンジは立希に相談したというわけではなく、完
全に自分で考えたアレンジではないかと思います。
それだけ愛音は、「春日影」という曲とギターに向き合い続けたのではないかと考えます。
さいごに
以上のように、「春日影」で愛音がギターにカポを付けて演奏した理由について様々に考察してみました。
ただし、作品を何度も見返しましたが、作中ではカポを使ったヒントとなるような発言やそれを示唆するような描写は一切発見できませんでした。
従って、ノーヒントで様々な状況から推測することしかできなかったわけですが、こじつけ・論理の飛躍・矛盾などがあったかもしれません。その点についてはご了承ください。
ただ一つ確実に言えることは、「BanG Dream! It's MyGO!!!!!」という作品は本当に素晴らしい作品だということです。なんでこの作品、こんなに泣けるんすですかね。
「 MyGO」に出会えて良かったです。
これからも応援していきます!
迷子でも進め!
追記
エレキであまりカポを使わないことについて
最近のバンドでは、エレキでもカポを使っていることが増えてきているようです。また、和楽器バンドのギターである町屋さんもエレキでカポを使っているお1人です。
カポ装着時における愛音の演奏について
まずは下記の画像をご覧ください。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第7話より引用>
左手のコードフォームを見てみるとDのオープンコードを押さえているのが分かります。加えて、実際の演奏でもDのアルペジオを演奏しており、4弦の開放弦が鳴っています。
<画像はテレビアニメ『BanG Dream! It's MyGO!!!!!』第7話より引用>
上記の左手のフォームはオープンコードではなくバレーコード、しかもハイフレットのコードを押さえていることが分かります。
以上のように、カポを使った愛音の演奏は、オープンコードやバレーコードを駆使しながら、右手もストロークだけでなくアルペジオを使うなど、非常に高度で独自の演奏となっています。