こんにちわ、テッラです。
水樹奈々さんの14枚目のアルバム『DELIGHTED REVIVER』が発売となりました。
そこで、テキストマイニングの手法によって『DELIGHTED REVIVER』の歌詞を数量化し、その特徴について分析を試みました。
具体的には以下の通りです。
①直近3つのアルバム(『DELIGHTED REVIVER』『CANNONBALL RUNNING』『NEOGENE CREATION』)における頻出語TOP10の比較
②直近3つのアルバム(『DELIGHTED REVIVER』『CANNONBALL RUNNING』『NEOGENE CREATION』)に特徴的に出現する語の比較
③『DELIGHTED REVIVER』の歌詞における語同士の繋がりを示した図(共起ネットワーク図)による分析
上記のそれぞれの項目について独自の考察を加えました。といっても、あくまでざっくりとした簡単な考察ですので参考程度に考えて頂ければと思います。
直近3つのアルバムにおける頻出語TOP10の比較
頻出語TOP10
※比較分析を分かりやすくするために、「僕」や「私」などの人称表現及び英語詞は排除して集計しています。
上記のように、『DELIGHTED REVIVER』の歌詞の中で最も多く登場する語は「愛」となりました。
okmusicによるインタビューでも「ここまで苦境を乗り越えてきたみなさんの心に寄り添えるように、愛に満ちたものにしたいという想いが強く表れていると思います。」と語っている通りの結果となりました。
また、第2位の「世界」、第3位の「生きる」という語については、コロナ禍で「世界」が変わったしまった中でどう「生きる」かというメッセージを反映しているのではないかと考えられます。
ところで、水樹奈々さんの楽曲の歌詞には「夢」という語が多く登場します。
そのことを示すために、キャラソンを除いて、これまで水樹奈々名義で発表された楽曲の歌詞の頻出語TOP10を集計してみました。
上記の通り、「夢」は堂々の第1位となっています。
ところが、本分析で対象とした3つのアルバムの中で「夢」の使用頻度はダウントレンドとなっており、『DELIGHTED REVIVER』においては、3つのアルバムの中で最も低い第4位という結果でした。
ここで少し興味深い分析をご紹介します。
1950年代から2020年までのJ-POP約1,300曲の歌詞をテキストマイニングによって分析したレポートなのですが、「夢」という語は1990年代をピークにダウントレンドになっているというものでした。
「夢」という語は、水樹奈々楽曲の根底をなすものであり、今後もその重要性はいささかも変わることはないと思います。
しかしながら、時代を経るにつれて「夢」という意味、その中身についてはメッセージ性に変化が訪れているのかもしれません。
その一例として、『DELIGHTED REVIVER』の歌詞の中で「夢」の前後に登場する語の統計を確認してみたところ、「繋ぐ」という語が3回登場していることが分かりました。
過去に「夢」について「繋ぐ」という語が使われたのは、2005年に発売された「WILD EYES」まで遡ることになります。
実際にどのような変化があったかどうかについては、より深い分析と考察が必要になるでしょう。なので、本分析においては問題提起をするだけに留めておきたいと思います。(時間があればやります笑)
直近3つのアルバムにおいて特徴的に出現する語の比較
頻出語の出現傾向を分析し、各アルバムに特徴的に出現している語を視覚的に把握できるように図に示しました。
図の見方ですが、アルバムのタイトルに近い語はそのアルバムに特徴的な語、反対に原点に近い語は、どのアルバムにおいても普遍的に出現している語ということになります。
まず、普遍的な語についてですが、本分析において対象とした3つのアルバムの中で「未来」という語が最も普遍的に出現している語という結果になりました。
「未来」は、水樹奈々さんを象徴するような前向きな語ですね。
一方、『DELIGHTED REVIVER』に特徴的に出現している語は「明日」「見える」「守る」「手」となりました。
特に、「明日」という語については、頻出語TOP10の項目でも述べたように、遠い未来よりも身近な明日をどう生きるかというコロナ禍の世相を反映した語といえます。
「守る」という語についても、コロナ禍でいろんなものが失われてしまった中で、今あるものを大切にしていくというメッセージがあるように思いました。
共起ネットワーク図による分析
『DELIGHTED REVIVER』の歌詞において、どのような言葉がどのような言葉と一緒に使われているのか、語同士の繋がりを分かりやすくしたネットワーク図が上記です。
まず、「明日」という語ですが、「生きる」「来る」という語と結びつきが強いことが分かります。
これまで述べたように、コロナ禍で「明日を生きる」「明日は来る」というメッセージがここでも読み取ることができるでしょう。
「絶望」というネガティブな語には、「希望」「先」「光」といった語が結びついています。いずれの語も前向きさを示す語であり、「諦めず光を探し続けられるような1枚にしたい」というコンセプトにも合致する語の組み合わせです。
「世界」という語には、「変える」という語が結びついています。
「変わる」ではないことがポイントでしょうか。
受動的に世界が「変わる」ことを待つのではなく、自らの意志で世界を「変える」という水樹奈々さんらしい応援歌の要素がここで読み取ることができますね。
さいごに
以上のように、テキストマイニングによる様々角度から『DELIGHTED REVIVER』の歌詞を分析してみました。
いくつかのインタビューでも言及されていますが、コロナ禍という時代性を表現したような歌詞と水樹奈々さんらしいポジティブさを示した歌詞が『DELIGHTED REVIVER』の特徴であることが改めて確認できました。
あくまでざっくりとした分析及び考察だったと思いますが、『DELIGHTED REVIVER』の理解の一助となれば幸いです。
ちなみに、水樹奈々さんのテキストマイニングによる歌詞分析はすでに先行研究があり、本分析においても大いに参考にさせて頂いております。
http://dep.chs.nihon-u.ac.jp/japanese_lang/pdf_gobun/157/157_02_yamashita.pdf
(水樹奈々の歌詞の表現特性)
テキストマイニングによる歌詞分析は、今後も続けていきたいと考えております。
例えば、水樹奈々本人作詞とヨシダタクミ作詞の表現特性の違いとか。
水樹奈々さんのツアー「HOME」の開幕が目前に迫っておりますので、まずはツアーに集中します。
ということで、奈々ちゃんの夏ツアー、最高に楽しみましょう!